はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】まねっこぱくっ!たべもの / まつしたさゆり・スズキサトル

「まねっこぱくっ!たべもの」 読み聞かせと身体遊びの融合!その魅力を徹底解説

「まねっこぱくっ!たべもの」は、親子で一緒に楽しめる、ユニークな仕掛け絵本です。単なる読み聞かせの絵本ではなく、絵本の中の世界観を身体で表現することで、子どもの想像力と創造性を育むことを目指している点が、この本の大きな魅力だと感じました。 読み聞かせと身体遊びを巧みに融合させた構成は、従来の絵本にはない新鮮さがあり、親子で共に時間を過ごす上での新たな可能性を示唆していると感じます。

絵本の構成と特徴:シンプルながら奥深い表現

この絵本は、様々な食べ物をモチーフに、それぞれの食べ物が持つ特徴的な形や動きを、ポーズで表現する構成になっています。例えば、バナナなら「くねくね」と体を曲げたり、いちごなら丸くなって「ぷっくり」としたお腹を見せたりと、各食べ物の特徴を捉えた、シンプルながらも想像力を掻き立てるポーズが提示されています。絵柄もシンプルで可愛らしく、小さな子どもにも理解しやすいデザインです。文字数は少なく、繰り返し出てくる言葉も多いので、言葉の学習にも役立つでしょう。

特に印象的だったのは、各ページの「ぱくっ!」という擬音語と、それに続く「はい、ポーズ!」という掛け声です。この掛け声によって、子どもは自然とポーズをとる行動に促され、絵本の世界に没頭できるようになっています。このシンプルな仕掛けが、読み聞かせと身体遊びをシームレスに繋ぎ、自然な流れで遊びへと誘導している点が素晴らしいです。 「ぱくっ!」の場面で、ページを一瞬止めてポーズをとるという行為自体が、子どもにとって一つの達成感や満足感につながるのではないでしょうか。

親子のインタラクション:想像力を育む共創の場

この絵本は、単に指示に従ってポーズをとるだけでなく、親子の豊かなインタラクションを促す工夫が凝らされています。例えば、「りんごみたいに丸くなってごらん!」といった指示に対して、子どもがどのようにりんごを表現するか、親がそれをどう受け止めて一緒に楽しむかという、双方向のコミュニケーションが生まれる余地があります。 子どもは自分の解釈で自由にポーズをとることができますし、親は子どもの表現を尊重し、一緒に笑ったり、褒めたりすることで、温かいコミュニケーションを育むことができます。

また、絵本の内容を踏まえた上で、親子で自由にアドリブを加えることも可能です。例えば、バナナのポーズの後、「もっと長く伸びてみよう!」と促したり、いちごのポーズに続き、「甘酸っぱい顔もしてみよう!」と提案したりすることで、遊びの幅を広げることができます。 こうした自由な発想を取り入れることで、絵本は単なる読み聞かせの枠を超え、親子で共に創造性を育む共創の場へと進化するのです。

教育的な側面:五感を刺激し、想像力を膨らませる

「まねっこぱくっ!たべもの」は、単なる遊びの絵本ではありません。子どもの発達にとって非常に重要な要素である「五感」を刺激し、「想像力」を育む上で大きな役割を果たす絵本だと考えます。

まず、食べ物の形や色を視覚的に捉え、その特徴を身体で表現することで、視覚と運動感覚を結びつけることができます。また、絵本の中で表現される様々な食べ物の食感や味を想像することで、味覚や触覚を刺激します。さらに、「ぱくっ!」という擬音語は聴覚にも訴えかけ、絵本の世界観をより深く理解させる効果があります。

そして何より、それぞれの食べ物を自分の体で表現するという行為は、子どもの想像力を大きく膨らませます。 バナナのようにくねくね動く自分を想像したり、いちごのように丸くなる自分を想像したりする中で、子どもは自分の体と外界との関係性を理解し、創造的な思考を育んでいくことができるでしょう。

全体的な評価:新しいタイプの読み聞かせ絵本として高く評価

「まねっこぱくっ!たべもの」は、既存の読み聞かせ絵本とは一線を画す、新しいタイプの絵本です。読み聞かせと身体遊びを巧みに融合させ、子どもの想像力と創造性を育むという明確な目的を達成している点が素晴らしいです。シンプルながらも奥深い仕掛けと、親子のインタラクションを重視した構成は、絵本を読み聞かせる時間を、より楽しく、より有意義なものにしてくれます。

この絵本を通して、子どもは遊びを通して身体能力を高め、表現力を豊かにし、創造性を育むことができるでしょう。そして、親は子どもとの特別な時間を共有し、温かいコミュニケーションを育むことができます。 小さなお子さんをお持ちの家庭には、自信を持っておすすめできる一冊です。 この絵本が、多くの親子にとって、笑顔と創造性溢れる時間をもたらしてくれることを願っています。 そして、この絵本をきっかけに、子どもたちが「食べ物」という身近なテーマを通して、世界への好奇心を広げてくれることを期待しています。 読み聞かせの時間が、より一層楽しい時間になることを確信しています。