はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】カレーライスだいすき / 苅田澄子・いわさきまゆこ

『カレーライスだいすき』を読んで

絵本『カレーライスだいすき』は、カレーライスを作る過程を、擬音語と躍動感あふれるイラストで表現した、小さな子どもたちを魅了する一冊です。ページをめくるたびに、五感を刺激する言葉と絵が溢れており、カレー作りの楽しさ、そして出来上がったカレーの美味しさが鮮やかに伝わってきます。本書の魅力は、単にカレーの作り方を紹介するだけでなく、読み聞かせを通して、子どもたちの想像力と創造性を育むことに重点が置かれている点にあると感じました。

五感を刺激する言葉と絵の魅力

本書の魅力の一つ目は、擬音語を効果的に使用している点です。野菜を切る音「さくさく、さくさく」、肉を炒める音「じゅうじゅう、じゅじゅー」、カレーが煮える音「ぐつぐつ、ことこと」など、具体的な擬音語が、読者にカレー作りの臨場感を伝えます。これらの擬音語は、単に音を表すだけでなく、それぞれの動作の軽快さや力強さを表現しており、読者はまるでカレー作りの現場にいるかのような感覚を味わうことができます。

さらに、イラストも非常に魅力的です。鮮やかな色彩とダイナミックな絵柄は、子どもの心を掴んで離しません。玉ねぎを刻む様子や、スパイスを混ぜ合わせる様子、そして出来上がったカレーの美味しそうな様子など、絵一つ一つに細やかな描写が施されており、読み聞かせを通して子どもたちの視覚を刺激します。特に、カレーが煮込まれていく過程を表現したページは、ぐつぐつと煮えたぎる様子が生き生きと描かれており、見る者を食欲へと誘います。カレーの香りが漂ってきそうな錯覚すら覚えるほどです。

これらの言葉と絵の組み合わせは、単なる情報伝達を超えて、読み手に豊かな体験を提供しています。子どもたちは、擬音語を口ずさみながら、絵を指さしながら、五感をフル活用して物語の世界に入り込んでいくでしょう。

カレー作りのプロセスと子どもの参加意識

本書は、カレー作りの工程を丁寧に、しかし簡潔に描いている点も高く評価できます。野菜の刻み方や、スパイスの入れ方といった具体的な手順は、絵と文章の両方で分かりやすく説明されています。これは、子どもたちに料理への興味関心を高める上で非常に有効です。複雑な手順を省略し、子どもにも理解しやすいようにシンプルに表現されているところが、本書の大きな長所と言えるでしょう。

さらに、本書は子どもたちがカレー作りの過程に参加できるような工夫が凝らされています。例えば、「さあ、ふたをあけるよ」というフレーズは、読者にカレーの出来上がりへの期待感を高め、一緒にカレーを作るという一体感を醸し出しています。まるで、読み手がカレー作りの一部として参加しているかのような感覚を味わえる構成になっているのです。

想像力を掻き立てる余白と創造性の促進

本書は、言葉と絵による具体的な描写が多い一方、あえて余白を残している部分もあります。例えば、カレーに入れる野菜の種類や、スパイスの種類などは、具体的に描かれていません。これは、子どもたちの想像力を掻き立てるための巧みな演出だと考えられます。子どもたちは、自分自身でカレーに入れる野菜やスパイスを想像し、自分だけのオリジナルカレーを創造することができます。

この余白は、単に情報が不足しているのではなく、子どもたちの創造性を促すための工夫と言えるでしょう。子どもたちは、本書をきっかけとして、自分自身でカレーを作ってみたくなったり、カレーについてもっと知りたいと思うようになるかもしれません。そして、その過程で、料理への興味や関心、そして創造性を育んでいくことができるのです。

親子のコミュニケーションを促進する絵本

『カレーライスだいすき』は、親子で一緒に楽しむのに最適な絵本です。親は、擬音語を効果的に使用しながら読み聞かせをすることで、子どもたちの五感を刺激し、想像力を掻き立てることができます。また、絵を見ながら、カレーについて語り合うことで、親子のコミュニケーションを深めることもできます。

例えば、「この野菜は何かな?」とか「どんな味がすると思う?」といった質問を投げかけることで、子どもたちの思考を促し、活発な会話が生まれるでしょう。さらに、実際にカレーを作る際に、本書を参考にしながら一緒に料理をすることも可能です。このような実践的な活動を通して、子どもたちは料理の楽しさを実感し、自信をつけることができるでしょう。

まとめ:想像力と創造性を育む一冊

『カレーライスだいすき』は、シンプルながらも奥深い魅力を持つ絵本です。五感を刺激する言葉と絵、分かりやすいカレー作りの手順、そして想像力を掻き立てる余白など、多くの要素が絶妙なバランスで調和しており、子どもたちの想像力と創造性を育む上で非常に効果的な一冊と言えるでしょう。本書は、単なる料理絵本ではなく、子どもたちの成長を促す、かけがえのない存在となることでしょう。読み聞かせを通して、子どもたちがカレーの美味しさと作りの楽しさを知り、そして創造性を育んでくれることを願ってやみません。 この絵本をきっかけに、親子で一緒にカレーを作ったり、食卓を囲んで楽しい時間を過ごせることを期待しています。