はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】はたらくくるま 絵でみるみえ〜るずかん / 佐伯英次

はたらくくるま 絵でみるみえ〜るずかん:詳細な観察と発見の喜びに満ちた一冊

本書「はたらくくるま 絵でみるみえ〜るずかん」は、子供たちを魅了する働く車の魅力を、精緻なイラストと分かりやすい解説で余すことなく伝えてくれる、素晴らしい図鑑です。単なる図鑑としてだけでなく、子供たちの想像力や探究心を刺激する、教育的な価値も高く評価できる一冊だと感じました。

圧倒的な情報量と精緻なイラストレーション

まず、本書の最大の魅力は、90種類もの多様な働く車が掲載されているという、その圧倒的な情報量です。パトカーや消防車、救急車といった緊急車両から、工事現場で働く様々な車両、バスやタクシーといった公共交通機関、トラックやダンプカーといった貨物車両、そして空港で活躍する特殊車両まで、子供たちが普段目にする機会のある車から、そうでない車まで網羅されています。

各車両のイラストは、細部まで丁寧に描かれており、実車の写真では捉えきれないような、それぞれの車の機能や特徴が明確に表現されています。例えば、消防車のラダーの伸縮状態や、工事車両の複雑なアームの構造、パトカーのサイレンやライトの位置など、子供たちが興味を持つであろう細部まで、見事に再現されています。単に見た目を写し取ったのではなく、それぞれの車の機能性を理解した上で描かれていることが伝わってきて、イラストを見るだけでも深い学びが得られると感じました。

さらに、イラストの色使いも非常に鮮やかで、子供たちの目を惹きつけます。それぞれの車の個性的なカラーリングが忠実に再現されており、見ているだけで楽しくなるような、活気あふれるイラストレーションとなっています。

読み進める楽しさと知的好奇心の刺激

イラストだけでなく、各車両の解説も充実しています。単なる名称だけでなく、その車の機能や役割、働く場所、そして働く人たちの様子などが、子供にも理解しやすい言葉で説明されています。例えば、消防車について説明する際は、放水の様子や、救助活動の様子が絵と共に解説されており、単なる知識の羅列ではなく、働く車たちの活躍を想像力を掻き立てる構成になっています。

特に、各車両の「働く姿」を詳細に描写している点が優れています。単に「ゴミ収集車」と記載するだけでなく、ゴミを収集する過程や、分別方法、収集したゴミの行き先など、働く車の仕事内容を具体的に示しており、子供たちの知的好奇心を刺激します。

また、「まちのはたらくくるまマップ」は、本書の大きな魅力の一つです。様々な働く車が、街の様々な場所でどのように働いているのかを、鳥瞰図のように俯瞰的に見ることができる構成になっています。このマップを見ることで、子供たちは働く車たちが街全体を支えていることを理解し、それぞれの車の役割がどのように連携しているのかを視覚的に学ぶことができます。このマップは、子供たちの空間認識能力を高める効果も期待できるでしょう。

親子の共有体験としての価値

本書は、子供たちが単独で楽しむだけでなく、親子の共有体験としても非常に価値のある一冊です。親御さんが子供に、それぞれの車の名前や機能、役割などを説明しながら一緒に読むことで、親子の絆を深めることができるでしょう。また、一緒に働く車を探したり、マップを見ながら街の構造を想像したりするなど、インタラクティブな読み方が可能です。

特に、普段はなかなか見ることができない特殊車両や、具体的な仕事内容について説明することで、子供たちの社会に対する理解を深めるきっかけにもなります。

まとめ:想像力を羽ばたかせ、社会への理解を深める図鑑

「はたらくくるま 絵でみるみえ〜るずかん」は、単なる図鑑としてだけでなく、子供たちの知的好奇心を刺激し、想像力を豊かに育むための、優れた教育ツールだと考えます。精緻なイラスト、分かりやすい解説、そしてインタラクティブな構成は、子供たちにとって非常に魅力的で、飽きることなく何度も読み返したくなる一冊です。

本書は、働く車に興味を持つ子供たちにとって、まさに夢のような一冊であり、親御さんにとっても、子供と一緒に楽しめる良質な図鑑として、強くお勧めできる一冊です。 将来、どのような職業に就こうかと考える子供たちにとって、本書は社会のしくみ、働くことの意義について考えるきっかけを与えてくれるでしょう。 想像力豊かな未来を築くための、大切な一冊と言えるのではないでしょうか。