はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【絵本レビュー】こんなとききみならどうする? / スギヤマカナヨ

「こんなとききみならどうする?」を読んで

この度、絵本「こんなとききみならどうする?」を読ませていただきました。三つ子のキック、ミル、ユウという個性豊かなキャラクターたちが、日常生活で起こりうる様々なトラブルや困り事を乗り越える様子を描いた、子ども向けの問題解決絵本です。読み終えた後、小さな子どもを持つ親御さんだけでなく、教育に関わる方々にとっても、非常に示唆に富む内容だと感じました。

親しみやすいキャラクターとシチュエーション

まず、絵本全体を彩るキック、ミル、ユウという三つ子のキャラクターは、非常に魅力的です。それぞれに異なる個性があり、彼らの行動や思考を通して、子どもたちは様々な解決策を学ぶことができます。単なる「良い子」ではなく、失敗をしたり、感情的になったりする場面も描かれており、現実の子どもの姿に近く、親近感を持つことができるでしょう。

また、描かれているシチュエーションも、日常生活で起こりうる身近な出来事ばかりです。牛乳をこぼしてしまった、友達と喧嘩してしまった、おもちゃを壊してしまった…といった、子どもたちが実際に経験する可能性の高い出来事が題材として選ばれているため、子どもたちは「自分だったらどうするだろう?」と、自然と物語に引き込まれていくことでしょう。これは、問題解決能力を育む上で非常に大切な要素だと考えます。抽象的な例えではなく、具体的な状況が提示されることで、子どもたちはより現実的に考え、自分の行動をシミュレーションできるのです。

問題解決能力を育む工夫

この絵本は、単に問題を提示するだけでなく、問題解決のプロセスを丁寧に描いている点も優れています。三つ子たちは、それぞれの個性や考え方を活かしながら、試行錯誤を繰り返します。時には失敗し、時には成功を収め、その過程を通して、問題解決に必要な様々な要素を子どもたちに示唆しているのです。例えば、まずは落ち着いて状況を把握すること、周りの人に助けを求めること、そして、自分の行動が他人にどのような影響を与えるかを考えることなど、社会生活を送る上で必要なスキルが、自然な流れの中で学べるよう工夫されている点が素晴らしいです。

また、クイズ形式を取り入れている点も、子どもの学習意欲を高める上で効果的です。単なる読み聞かせではなく、子どもたちが能動的に参加できる要素が含まれていることで、飽きさせずに最後まで読み進めることができるでしょう。絵本の終わりには、三つ子たちが最終的にどのような解決策を選択したのかが提示されていますが、それはあくまでも一つの解答例に過ぎません。子どもたちは、絵本を読み終えた後も、自分なりの解決策を考えてみることを促されます。この点からも、この絵本が子どもの自主性を尊重し、自己肯定感を育むことを目指していることが見て取れます。

読み聞かせとしての効果と可能性

この絵本は、読み聞かせを通して親子のコミュニケーションを深める上でも役立つでしょう。親御さんは、絵本を読み聞かせながら、子どもと一緒になって問題解決について話し合うことができます。子どもがどのような考えを持っているのか、どのような解決策を思いつくのかを丁寧に聞き取ることで、子どもの思考や感情を理解し、より深い絆を築くことができるでしょう。また、親御さん自身も、子どもの視点から問題を捉え直す機会となり、子育てに対する新たな気づきを得られる可能性も秘めています。

さらに、この絵本は、保育の現場でも有効に活用できるでしょう。保育士さんは、この絵本を通して、子どもたちに問題解決のスキルを教え、社会性を育むことができるでしょう。集団生活の中で起こる様々なトラブルを、この絵本を題材として話し合うことで、子どもたちは互いに協力し合い、より良い解決策を見つけ出すことを学ぶことができるはずです。

発展的な学びへの可能性

この絵本は、比較的シンプルな内容ですが、そこから発展的な学びへと繋がる可能性を秘めている点が、大きな魅力です。例えば、牛乳をこぼしたという出来事をきっかけに、片付けの大切さや、こぼさないように工夫することの重要性について学ぶことができます。友達と喧嘩したというエピソードからは、相手の気持ちを理解すること、そして言葉の選び方について考える機会となります。

こうした、一見小さな出来事から、様々な学びへと繋げていくことができる点が、この絵本の大きな価値と言えるでしょう。単に問題と解答を示すだけでなく、そこから発展的に思考を深めることを促す絵本は、子どもの成長にとって非常に重要です。

まとめ

「こんなとききみならどうする?」は、子どもたちに問題解決能力を育む上で非常に有効な絵本です。親しみやすいキャラクター、身近なシチュエーション、そして問題解決のプロセスを丁寧に描いた構成は、子どもたちの心を掴み、自然と学びへと繋げてくれます。読み聞かせを通して、親子の絆を深め、子どもの成長を促すことができるでしょう。そして、保育の現場においても、社会性や協調性を育む上で貴重な教材となる可能性を秘めていると確信しています。 この絵本が、多くの子供たちにとって、困難を乗り越える勇気と知恵を与えてくれることを願っています。