はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】おならひめ / 有田奈央・喜湯本のづみ

おならひめ

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おならひめ:さつまいもの香り漂う、自由と解放の物語

「おならひめ」は、さつまいも畑に囲まれたお城に住むナーラ姫の、自由奔放でユーモラスな物語です。王様の禁止令、そしてそこから生まれる葛藤と、最終的に訪れる感動的な結末まで、子供たちの心を掴む魅力が数多く散りばめられています。本書の魅力を、様々な角度から深く掘り下げてみたいと思います。

予想外の「おなら」の多様性と魅力

本書で最も印象的なのは、ナーラ姫が発する「おなら」の多様性です。単なる排泄物として描かれるのではなく、まるで魔法のように、様々な効果をもたらす表現がなされています。例えば、さつまいもをたくさん食べた後の、お花を舞い散らせるような華やかなおなら、音楽を奏でるようなメロディアスなおなら、さらには、空を飛ぶための推進力となるおならなど、想像を超えるバリエーションが読者の心を捉えます。

これらの表現は、単なるユーモラスな描写にとどまらず、子供たちの想像力を刺激し、創造性を育む役割を果たしていると言えるでしょう。おならという、普段はタブーとされている行為を、ここまで肯定的に、そして魅力的に表現している点に、著者の巧みな筆致を感じます。子供たちは、ナーラ姫のおなら遊びを通して、既成概念にとらわれず、自由に発想することを学ぶことができるのではないでしょうか。

王様の禁止令とナーラ姫の葛藤:自由と責任の狭間で

物語の中心となるのは、王様による「おならあそび」の禁止令です。王様は、ナーラ姫のおなら遊びが、お城の品格を損なうと懸念し、それを禁止しようとします。この禁止令は、子供たちにとって、大人のルールや社会規範と向き合うための重要なきっかけとなるでしょう。

ナーラ姫は、おなら遊びが禁止されたことにより、深い悲しみと落胆を経験します。彼女は、自分が大切にしてきた自由を奪われたことに対し、強い抵抗を感じます。この葛藤は、子供たちが成長過程において必ず直面する、自由と責任の狭間で揺れる心情を繊細に表現しています。ナーラ姫の心情を通して、子供たちは、自分の気持ちに正直でありながら、周囲の状況やルールを考慮する大切さを学ぶことができるでしょう。

美しい描写とユーモラスな展開:心温まる物語の構成

本書は、単にユーモラスな展開を描くだけでなく、さつまいも畑の美しい情景や、ナーラ姫の豊かな表情など、繊細な描写も取り入れられています。さつまいもの黄金色の描写や、おならと共に舞い上がる花びらの描写などは、五感を刺激し、読者に物語の世界観を深く印象づけます。

特に、物語の後半で描かれる、ナーラ姫の涙や、王様の反省といったシーンは、読者の心に深い感動を与えてくれます。ユーモラスな展開と感動的な描写がうまく調和している点も、本書の魅力の一つと言えるでしょう。子供たちは、この物語を通して、喜びや悲しみ、そして友情といった、様々な感情を学ぶことができます。

絵本の持つ教育的効果:想像力と創造力の育成

「おならひめ」は、単なる娯楽作品としてではなく、子供たちの想像力や創造力を育むための優れた絵本として評価できます。ナーラ姫のおなら遊びを通して、子供たちは、常識にとらわれない発想や、自由な表現方法を学ぶことができるでしょう。

また、物語を通して描かれる、自由と責任、喜びと悲しみといった感情は、子供たちの社会性や共感性を育む上で重要な役割を果たします。本書は、子供たちが健全な人格を形成していく上で、大きな助けとなる一冊と言えるでしょう。

まとめ:心に残る、忘れられない一冊

「おならひめ」は、ユーモラスな展開と感動的な描写が絶妙に融合した、子供たちにとって忘れられない一冊となるでしょう。さつまいもの甘い香りと、ナーラ姫の自由奔放なおなら遊びは、読者の心に温かい感動を与えてくれます。子供だけでなく、大人も一緒に楽しめる、心に残る絵本です。本書は、子供たちの想像力と創造力を育み、豊かな心を育むための、素晴らしい教材となること間違いありません。 子供を持つ親御さん、絵本好きの方々に、自信を持ってお勧めしたい一冊です。 この絵本を通して、子供たちが笑顔になり、そして何かを学ぶきっかけとなることを願っています。

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