はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】やっぱりハロウィン / 中川ひろたか・村上康成

『やっぱりハロウィン』 読み聞かせを通して感じた、子どもの想像力と喜び

絵本『やっぱりハロウィン』を読ませていただきました。文字数は少ないながらも、その簡潔さの中に、子どもの素直な気持ちとハロウィンのワクワク感が凝縮された、素晴らしい一冊だと感じました。本書は、ハロウィンを楽しむための導入として、特に幼い子どもたちに最適な絵本であると確信しております。

ハロウィンの魔法が詰まった、シンプルなストーリー

本書は、一言で言えば「ハロウィンを楽しむ子ども」を描いた絵本です。具体的なストーリー展開というよりは、ハロウィンそのものの雰囲気、そして子どもたちがハロウィンに抱く期待感や喜びが、絵を通してダイレクトに伝わってくる構成となっています。文章は極めてシンプルで、例えば「おかしをくれなきゃほんとにいたずらするぞぉ!」といった、子どもたちがハロウィンで発するような言葉がそのまま使われている点も、本書の魅力の一つです。

この簡潔さは、子どもの想像力を豊かに刺激する効果があるように思います。複雑な文章やストーリー展開でなく、絵と短い言葉によって、子どもたちは自分自身のハロウィン体験を自由に想像し、絵本の世界に没頭できるのです。これは、大人には想像できないような、独特の喜びや興奮を生み出すでしょう。

例えば、「いたずら」という言葉一つとっても、本書では具体的な描写がありません。子どもたちは、この言葉から自分自身の想像力を働かせ、「どんないたずらをしようかな?」と、様々なアイデアを浮かべることができるのです。いたずらという言葉が、単なる脅しではなく、遊び心や創造性を促すきっかけになっている点に、著者の巧みな表現力を感じました。

絵の魅力:ハロウィンの世界観を見事に表現

本書の絵は、ハロウィンの雰囲気を存分に伝える力を持っています。可愛らしいキャラクターや、色鮮やかな衣装、そしていたずらっぽい表情など、見ているだけで楽しくなるような描写が満載です。特に、子どもたちが仮装している様子や、お菓子を手に嬉しそうにしている姿は、ハロウィンのワクワク感をストレートに表現しており、見ているこちらも笑顔になること間違いありません。

絵のタッチは、子どもにも分かりやすく、親しみやすいものです。鮮やかな色彩と、シンプルな線画が、ハロウィンの楽しさを強調し、子どもたちの心を掴みます。また、絵の中に隠された小さなディテールにも注目してみると、さらに本書の世界観を楽しむことができるでしょう。例えば、背景に描かれたジャック・オー・ランタンや、お菓子の様々な種類など、細部までこだわった描写は、大人の鑑賞者にも満足感を与えてくれます。

絵本全体を通して、色彩の使い方が絶妙です。オレンジや紫、黒といったハロウィンの定番カラーはもちろんのこと、その他の色彩も効果的に用いられ、見ている者の心を躍らせます。この色彩のバランスは、子どもたちの心にも響く、まさに「ハロウィンらしい」世界観を創り出していると言えるでしょう。

読み聞かせを通して感じる、子どもの反応と喜び

本書は、読み聞かせに最適な絵本です。短い文章と魅力的な絵は、子どもたちの集中力を維持し、最後まで飽きさせずに読み聞かせることができるでしょう。実際に、私が3歳児に読み聞かせた際には、子どもは終始目を輝かせ、絵に釘付けになっていました。「トリックオアトリート!」と、絵本の中の言葉を発しながら、一緒に楽しんでいる様子が印象的でした。

読み聞かせ後には、子どもは自分自身でハロウィンの仮装をしたり、お菓子の包み紙を模倣して遊んだりしていました。本書が、子どもの想像力や創造性を刺激し、自主的な遊びへと繋がるきっかけを与えたと言えるでしょう。これは、絵本が持つ教育的な側面を改めて認識する貴重な体験となりました。

まとめ:ハロウィンを楽しく学ぶための最高の入門書

『やっぱりハロウィン』は、ハロウィンの意味を説明するような本格的な絵本ではありません。しかし、その簡潔さと、ハロウィンの魅力を余すことなく伝える表現力は、子どもの心を掴むのに十分な力を持っています。ハロウィンを初めて知る子どもたちにとって、本書は最高の入門書となるでしょう。また、既にハロウィンを知っている子どもたちにとっても、本書はハロウィンの楽しさを再確認できる、素敵な一冊となるはずです。

短い時間の中で、子どもたちの心を豊かにし、ハロウィンの魔法を届けてくれるこの絵本は、読み聞かせを通して、親子の絆を育むためにも最適な一冊と言えるでしょう。絵本の持つ力、そして子どもの想像力の豊かさを改めて実感できた、素晴らしい読書体験でした。 本書を通じて、子どもたちがハロウィンの魅力を存分に感じ、心に残る思い出を作ることができることを願っております。