はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】いちにのさんぽ / ひろかわさえこ

『いちにのさんぽ』 読み聞かせの喜びと、言葉のリズムの魔法

絵本『いちにのさんぽ』。そのシンプルなタイトルからは想像もつかないほど、この絵本は、読み聞かせの時間を豊かに彩る、魔法のような魅力を秘めています。繰り返しによって生まれるリズム、親しみやすい言葉選び、そして何よりも、読み聞かせをする親子の心と心を繋ぐ温かさ。本書の魅力を、じっくりと紐解いていきたいと思います。

繰り返しのリズムが奏でる、心地よい散歩道

本書の最大の魅力は、なんといってもそのリズミカルな言葉選びと、繰り返しの構成にあります。「いちに いちに いちにのさんぽ」という、シンプルながらも耳に心地よいフレーズが、物語全体を優しく包み込みます。この繰り返しのリズムは、まるで散歩道をゆっくりと歩くような、穏やかなテンポを生み出しています。小さな子どもたちは、この繰り返しのリズムに自然と身を委ね、心地よい散歩の時間に没頭していくのではないでしょうか。

「さんぽあるいて こんにちは」という、シンプルな言葉にも、独特の温かさを感じます。挨拶の言葉は、人との繋がりを象徴するものであり、この絵本では、散歩を通して出会う様々なものへの、さりげない挨拶が、読む者の心を優しく温めてくれます。

また、絵本の絵柄も、このリズム感を効果的に補強しています。シンプルながらも可愛らしい絵は、子どもの想像力を刺激し、読み聞かせの世界に自然と引き込んでくれます。絵と文章の調和が、物語に深みを与え、より一層、読み聞かせの時間を豊かなものにしてくれます。

想像力を育む、シンプルな物語

本書は、物語の内容そのものが非常にシンプルです。具体的な描写は少なく、むしろ、読者の想像力を掻き立てるような構成になっています。だからこそ、子どもたちは、自由に自分の想像力を羽ばたかせ、絵本の登場人物や情景を自由に創造することができるのです。例えば、「こんにちは」と挨拶する相手は、どんな生き物なのでしょうか?散歩の道には、どんな風景が広がっているのでしょうか?これらの問いに対して、子どもたちはそれぞれ異なる答えを導き出し、独自の物語を構築していくことができるでしょう。

この想像力を育むという点において、本書は、子どもの潜在能力を最大限に引き出す、優れた絵本だと感じます。複雑な物語や難しい言葉は必要ありません。シンプルだからこそ、子どもたちは自由に想像力を巡らせ、豊かな心を育むことができるのです。

親子の絆を深める、読み聞かせのひととき

本書は、単なる絵本ではありません。それは、親と子の絆を育む、大切なコミュニケーションツールです。読み聞かせを通して、親子の間には、温かい愛情と信頼が育まれていきます。親の声のトーン、表情、そして触れ合い。これらの要素が、読み聞かせの時間を、かけがえのない思い出へと変えてくれるのです。

本書のシンプルな構成は、親にとっても読みやすいというメリットがあります。初めて絵本を読む方でも、安心して読み聞かせを行うことができるでしょう。また、繰り返しのリズムは、親自身の心を落ち着かせ、リラックスした状態で読み聞かせに臨むことができるでしょう。

そして、読み終えた後には、絵本の内容について、子どもと語り合う時間を持つことができます。散歩の道で見つけたもの、出会った生き物について、自由に会話をすることで、親子のコミュニケーションがさらに深まるでしょう。

結論:長く愛される、普遍的な魅力

『いちにのさんぽ』は、言葉のリズム、シンプルな物語、そして親子の絆を育む温かさという、三つの要素が絶妙なバランスで融合した、素晴らしい絵本です。年齢を問わず、多くの人々の心を掴む、普遍的な魅力を秘めていると感じます。これから絵本選びに迷っている方、読み聞かせを通して子どもとの絆を深めたい方、そして、単に心温まる物語を楽しみたい方、すべての方に本書を自信を持っておすすめします。この絵本を通して、あなたも、心地よい散歩と、心温まる読み聞かせの時間を体験してください。 本書は、世代を超えて愛され続ける、まさに「名作」と言えるのではないでしょうか。 繰り返しのリズムは、まるで子守歌のように、子どもたちの心を優しく包み込み、そして、親子の心を一つにしてくれるでしょう。 そのシンプルさの中にこそ、深い愛情と、創造力を育む力があるのです。