はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】おいしー!べーっ! / レスリー・パトリセリ・・ぶんおおはまちひろ

絵本の魅力を余すことなく!『おいしー!べーっ!』レビュー

レスリー・パトリセリさんの絵本『おいしー!べーっ!』は、シンプルながらも奥深い魅力を持つ一冊です。タイトルからも想像できる通り、「おいしいもの」と「まずいもの」が交互に紹介される、赤ちゃんと幼児を対象とした絵本ですが、その構成や絵柄、そして伝えられるメッセージは、単なる「食べ物紹介」の枠を超えていると感じました。本書の魅力を、様々な観点から詳細にレビューしていきたいと思います。

親しみやすい繰り返しとリズム感

本書の最大の魅力は、その構成のシンプルさと、繰り返しの効果によるリズム感にあります。「おいしー!」「べー!」というシンプルな言葉が、ページをめくるごとに繰り返されます。この繰り返しは、まだ言葉数が少ない赤ちゃんにとっても理解しやすく、親子の読み聞かせを自然と楽しい時間にしてくれます。初めて絵本に触れる赤ちゃんでも、繰り返しによって言葉のリズムを覚え、言葉への興味関心を高めることができるでしょう。さらに、絵柄とテキストの組み合わせも絶妙で、ページをめくるごとに期待感が高まり、赤ちゃんは飽きることなく絵本の世界に没頭できるのではないでしょうか。

対照的な描写による視覚的刺激

「おいしいもの」と「まずいもの」の対比は、赤ちゃんの視覚的な発達を促す効果があると考えられます。色鮮やかなフルーツや美味しそうなケーキと、青白い顔をした子どもや、虫がついた食べ物のコントラストは、赤ちゃんにとって強い視覚的刺激となり、色彩認識や物事の差異を理解する能力の発達に貢献するでしょう。また、それぞれの食べ物の表現も実に巧みで、美味しそうなものはキラキラと輝き、まずそうなものは現実味を帯びて描かれている点が、赤ちゃんのリアリティのある認識を育む上で効果的です。

英語併記による早期英語教育への貢献

本書は、日本語に加えて英語表記も併記されている点が大きな特徴です。英語表記は、日本語表記の下に小さく記載されているため、日本語が理解できるようになれば、自然と英語にも触れることができます。英語を学ぶ上で、幼少期からの早期教育は非常に重要と言われています。本書を通して、自然で無理のない形で英語に触れることができる点は、親御さんにとって大きなメリットとなるでしょう。幼い頃から英語に親しむことで、将来の英語学習への土台作りにも貢献できるはずです。

感情表現の豊かさ

「おいしー!」と表現される食べ物は、見るからに美味しそうで、見ているだけで幸せな気持ちになります。一方「べー!」と表現される食べ物は、虫がいたり、腐っていたりと、見ているだけで少し嫌な気持ちになります。この対照的な描写は、赤ちゃんの感情を豊かに育む上で重要な役割を果たすでしょう。様々な感情を絵本を通して体験することで、赤ちゃんの情動的な発達が促され、豊かな心の成長につながるのではないでしょうか。

シンプルながらも奥深いメッセージ

一見するとシンプルな絵本ですが、『おいしー!べーっ!』には、奥深いメッセージが込められていると感じます。それは、「好き嫌い」についてです。本書では、「おいしいもの」と「まずいもの」が明確に区別されていますが、それはあくまで主観的な判断です。誰にとっても「おいしー!」ものばかりではない、という現実を優しく教えてくれているようにも感じます。この絵本を通して、子どもたちは自分の「好き」や「嫌い」を肯定し、多様な味覚や食文化を受け入れる心を育むことができるのではないでしょうか。

レスリー・パトリセリさんの絵柄の魅力

レスリー・パトリセリさんの絵柄は、本書の魅力をさらに高めています。可愛らしいキャラクターと、鮮やかで大胆な色彩使いは、赤ちゃんの視線を惹きつけ、絵本の世界へと引き込みます。シンプルながらも個性的で、見ているだけで楽しくなるような絵柄は、まさにこの絵本に最適だと感じます。他のシリーズも見てみたいと思わせる、そんな魅力的な絵柄です。

まとめ

『おいしー!べーっ!』は、シンプルながらも奥深い魅力を持つ、赤ちゃんから幼児まで楽しめる絵本です。繰り返しのリズム、視覚的な刺激、英語併記、そして感情表現の豊かさ、そしてレスリー・パトリセリさんの魅力的な絵柄、これらすべてが相まって、本書はまさに「読む人の心を豊かにする」絵本だと感じました。

初めて絵本に触れる赤ちゃんから、すでに絵本に親しんでいる幼児まで、幅広い年齢層の子供たちにおすすめできる一冊です。親子で一緒に読み聞かせを行い、絵本の世界を共有することで、より一層深い愛情が育まれることでしょう。この絵本が、多くの子供たちにとって、素敵な思い出と共に成長を促す一冊となることを願っています。