はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】こんやはなんのぎょうれつ? / オームラトモコ

『こんやはなんのぎょうれつ?』感想レビュー

本書『こんやはなんのぎょうれつ?』は、実に賑やかで、そして想像力を掻き立てる一冊です。70種類以上の妖怪やおばけたちが、それぞれ個性的な表情で、長い行列を作っている様子は、大人である私でさえも、ページをめくる度にワクワクする気持ちにさせられました。絵本の魅力を余すことなく伝えられるよう、本書の構成、イラスト、そして全体的な印象について、詳細にわたってレビューさせていただきます。

魅力的な妖怪たちのオンパレード

まず、本書で最も目を引くのは、多種多様な妖怪やおばけたちのデザインです。一つとして同じものがない、個性豊かなキャラクターたちが勢ぞろいしており、それぞれに愛嬌があり、時にユーモラスで、時にちょっと不気味な雰囲気も漂わせる絶妙なバランスが保たれています。 それぞれの妖怪の表情や仕草は生き生きとしており、まるで本当にそこにいるかのような錯覚に陥るほどです。特に、名前が書かれてあることで、子どもたちはそれぞれの妖怪を覚えやすく、何度も読み聞かせすることで、物語への理解を深め、親しみを育むことができるでしょう。 単に「怖い」だけの妖怪ではなく、愛らしさや面白さも感じさせる描き方をしている点も、本書の魅力の一つです。小さなお子さんでも抵抗なく、むしろ楽しく見て、聞いて、そして覚えられるように工夫されていると感じました。

予想外の展開と、読み聞かせの楽しさ

妖怪たちの行列は、単に並んでいるだけでなく、ページをめくるごとに新たな妖怪が登場し、行列が変化していきます。これは、子どもたちの想像力を刺激するだけでなく、読み聞かせをする大人にとっても、毎回新鮮な気持ちで臨むことができる仕掛けとなっています。 例えば、あるページでは、特定の妖怪が別の妖怪に何かを話しかけている様子が描かれていたり、行列の順番が変わっていたりといった、小さな変化が随所に散りばめられています。これらの小さな変化を見つける楽しみも、本書の魅力の一つと言えるでしょう。読み聞かせをする際には、子どもと一緒にこれらの変化を探しながら読むことで、より一層物語への没入感を高めることができるはずです。 ページ間の繋がりも巧みに設計されており、前後のページを関連づけることで、ストーリーに一貫性を持たせ、子どもたちの理解を助けています。まるで、一つの長い物語が、たくさんの短いエピソードで構成されているような、巧妙な構成です。

絵本の構成とデザイン

本書の構成は、シンプルながらも効果的です。ページ全体が妖怪たちの行列で埋め尽くされているため、視覚的なインパクトが強く、子どもたちの目を惹きつけます。色使いも鮮やかで、絵本全体が明るく楽しい雰囲気に満ち溢れています。 また、文字の大きさやフォントも、子どもたちが読みやすいように配慮されており、親御さんにとって読み聞かせをする際の負担も軽減してくれるでしょう。 イラストのタッチは、子どもにも理解しやすいようにシンプルながらも、各妖怪の個性をしっかりと表現しており、非常にバランスが良いと感じました。 余白の使い方が上手で、ぎゅうぎゅう詰めになっていない点も評価できます。見やすく、飽きさせない構成になっている点が、本書の大きな魅力です。

全体的な印象と対象年齢

『こんやはなんのぎょうれつ?』は、絵本の持つ、想像力を掻き立てる力、そして読み聞かせの喜びを余すことなく表現した素晴らしい作品です。70種類以上の妖怪たちが織りなす、予測不能で楽しい行列は、子どもたちの好奇心と想像力を刺激し、飽きさせません。 対象年齢は、恐らく2歳から小学校低学年くらいまでの子どもたちが楽しめると思います。 小さなお子さんには、カラフルなイラストと、ユニークな妖怪たちの姿が、大きな魅力となるでしょう。 小学校低学年の子どもたちには、それぞれの妖怪の名前を覚えること、そしてページ間の繋がりを見つけることによって、より深い楽しみを見出すことができると思います。 大人にとっても、子どもの頃には想像できなかったような、様々な妖怪たちが描かれている点で、新鮮な驚きと、懐かしさを感じさせてくれる、そんな絵本だと感じました。

まとめ

本書は、単なる妖怪図鑑ではなく、子どもたちの想像力を育み、親子のコミュニケーションを深めるための、優れた絵本です。 繰り返し読み聞かせすることで、子どもたちは妖怪たちの名前や特徴を覚え、言葉の理解も深めることができるでしょう。 鮮やかなイラストと、巧みな構成によって、読み聞かせをする大人も、一緒に楽しめると確信しています。 この絵本を通じて、子どもたちが豊かな想像の世界を広げ、楽しい時間を過ごせることを願っています。 他のシリーズもぜひ読んでみたい、そう思わせる魅力が詰まった、素晴らしい絵本でした。