はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~

3歳男の子と6歳女の子のママです。これまでに読み聞かせてきた絵本を紹介しています。

【読書感想文/レビュー】くだものころん / 彦坂有紀・もりといずみ

『くだものころん』:五感に響く、赤ちゃんのためのフルーツ絵本

本書『くだものころん』は、赤ちゃんの発達を優しく促す、魅力的な絵本です。0歳から対象年齢とされている通り、鮮やかな色彩と単純ながらも奥行きのあるイラスト、そして擬音語・擬態語を効果的に用いたリズミカルな文章は、赤ちゃんの視覚、聴覚、そして触覚(実際に絵本を触ることで)に訴えかけ、五感を刺激する素晴らしい仕上がりになっています。

見事な色彩とシンプルながらも奥深いイラストレーション

まず目を奪われるのは、その鮮やかな色彩です。イチゴの赤、バナナの黄色、ぶどうの紫…それぞれの果物の持つ本来の色が、最大限に引き出されています。単なる色塗りではなく、光の反射や陰影までも丁寧に表現されており、まるで本物の果物を見ているかのような錯覚に陥るほどです。イラストは極めてシンプルで、赤ちゃんにも理解しやすいデザインです。複雑な背景や細かな描写は避け、果物そのものに焦点を当てています。しかし、そのシンプルさの中に、果物の質感や瑞々しさ、そして可愛らしさが巧みに表現されています。例えば、みかんのぷっくりとした形や、イチゴの小さな粒々など、細部まで丁寧に描かれていることに感心させられます。 このシンプルさは、赤ちゃんの集中力を途切れさせずに、絵本の世界に引き込む効果があると感じます。

リズミカルな文章と効果的な擬音語・擬態語の活用

絵本を読み聞かせする際のポイントは、文章のリズムと、擬音語・擬態語の巧みな使用にあります。「ころん」「ぎゅっ」「ぷにゅ」といった擬音語・擬態語は、赤ちゃんの興味を引きつけ、読み聞かせをより楽しく、そして効果的にします。これらの言葉は、単なる言葉の羅列ではなく、果物の形や感触を的確に表現しており、聴覚を通じて赤ちゃんの想像力を刺激する役割を果たしています。例えば、「ころん、とまる りんご」というシンプルな文章一つとっても、りんごの丸みを帯びた形状と、それが静かに置かれた様子を想像させることができます。この言葉選びのセンスは、著者の赤ちゃんの発達への深い理解と愛情を感じさせます。 さらに、繰り返される言葉やリズムのある文章は、赤ちゃんの言語習得を促す効果も期待できます。

読み聞かせを通して育む、親子の触れ合いと感情の共有

この絵本は、単に読み聞かせをするだけでなく、親子の触れ合いを深める貴重な時間をもたらしてくれます。 鮮やかな色彩と可愛らしいイラストは、親子の会話のきっかけとなり、果物についての話題を広げることも可能です。 「これは何かな?」「赤くて丸いね!」といった簡単なやり取りを通して、赤ちゃんは言葉の意味を理解し、コミュニケーション能力を育んでいきます。また、擬音語・擬態語を一緒に発声することで、赤ちゃんは言葉遊びの楽しさを体験し、言葉への興味を高めることができるでしょう。 絵本を読み聞かせながら、優しく赤ちゃんを抱きしめたり、果物の絵を指さしたりする行為は、親子の愛情を育み、安心感を与えます。 これは、赤ちゃんの健やかな成長にとって非常に大切な要素です。

多様な果物と、そこから広がる可能性

本書では、りんご、バナナ、イチゴ、みかん、ぶどうなど、様々な果物が取り上げられています。それぞれの果物の特徴を捉えたイラストと文章は、赤ちゃんの知的好奇心を刺激し、様々な果物への興味関心を育みます。 そして、この絵本をきっかけに、実際の果物を赤ちゃんに食べさせてみることもできます。 絵本の読み聞かせと、実際の果物との触れ合いを組み合わせることで、より深い学びへと繋がっていくでしょう。 さらに、この絵本は、果物に限らず、様々なものの形や色、そして質感に注目するきっかけを与えてくれます。 それは、赤ちゃんの知的好奇心を刺激し、世界への理解を深める上で非常に重要な要素です。

まとめ:五感を刺激し、親子の絆を育む一冊

『くだものころん』は、単なる絵本ではなく、赤ちゃんの発達を促し、親子の絆を育むための貴重なツールです。 鮮やかな色彩、シンプルながらも奥深いイラスト、そしてリズミカルな文章と効果的な擬音語・擬態語の使い方は、赤ちゃんの五感を刺激し、想像力を豊かに育みます。 読み聞かせを通して、親子の触れ合いを深め、愛情あふれる時間を共有できる、そんな素敵な絵本だと感じています。 0歳児を持つ親御さんだけでなく、絵本選びに迷っている方にも自信を持っておすすめできる一冊です。 この絵本が、多くの赤ちゃん、そして親御さんにとって、かけがえのない宝物となることを願っています。